インターネット上の情報やSNSのまとめ記事では、『星の流れに』に関してしばしば事実誤認や過度な誇張が見受けられます。ここでは、歴史的検証に基づき、よくある2つの誤解を正しておきます。
誤解1:「特定の個人(一人の街娼)の実話モデルが存在する」という言説
ネット上の一部ブログなどでは「作詞者の清水みのるが特定の一人の女性と恋に落ち、その人の身の上をそのまま書いた」という美談仕立ての解説が見られます。しかし、清水本人が生前に語った手記や関係者の証言資料を丹念に追うと、特定の愛人関係を描いたものではなく、上野や新橋のガード下で群れを成していた不特定多数の街娼たちの姿と、復員してきた戦災孤児たちの惨状を包括的に凝縮した社会的告発詩であることが明確に分かります。フィクションとしての叙情性を保ちながら、時代の総体を捉えた点にこそ、本作が国民的広がりを持った理由があります。
誤解2:「タイトルは最初から『星の流れに』だった」という思い込み
前述の通り、この曲は最初から現在のタイトルで企画されたわけではありません。初期の仮題や別テイクの構想段階では、より情緒的で一般的なムード歌謡風の題名が検討されていました。しかし、時代の暗雲の中で流れ星のように儚く散っていく女性たちの運命を象徴させるため、ギリギリの段階で『星の流れに』へと改名されました。この研ぎ澄まされたタイトル変更がなければ、これほど長く後世の記憶に残ることはなかったはずです。