国民的映画『男はつらいよ』で車寅次郎が見せた、軽快で洒脱な足元を覚えているだろうか。寅さんのようにフラリと旅に出る粋な和服ファッションの着こなしには、実は理にかなった痛対策が隠されている。
江戸の昔から、下駄は「自分の足に合わせて育てるもの」だった。新品のうちは短時間の外出で慣らし、徐々に自分の足型に馴染ませていく。また、あらかじめ指の股や足の甲など当たりやすい場所にワセリンやベビーパウダーを塗っておく、あるいは透明な絆創膏を「予防」として貼っておく知恵も、往年の江戸っ子たちが実践していた皮膚の保護策に通じる。痛くなってから貼るのではなく、出かける前の「仕込み」こそが、一日中笑顔で過ごすための分岐点なのだ。