明治維新によって近代国家が成立すると、新政府は治安強化と社会統制を推進します。その決定打となったのが1884年(明治17年)の「賭博犯処罰令」です。これにより全国の賭場は徹底的に摘発され、従来の博徒集団は活動基盤を失う危機に直面しました。
生存をかけた博徒組織は、産業革命が進む日本国内の新たな利権へと活動領域をシフトさせていきます。
- 炭鉱・土木建設・港湾荷役への進出:大量の労働者を束ねる手配師や現場監督(人入れ稼業)として定着。荒くれ者を統率する暴力装置として重宝された。
- 興行・芸能界への関与:浪曲や相撲、歌謡ショーなどの地方巡業を取り仕切る興行主として資金源を確保。
- 戦後・昭和の企業化:闇市利権や金融業、不動産業へ進出し、伝統的な博徒組織は「広域暴力団」へと巨大化。東映が制作した『網走番外地』『仁義なき戦い』などの映画シリーズが一大ブームを巻き起こし、文化面でも影響力を誇った。
しかし、1992年の暴力団対策法(暴対法)施行および2011年までに全国で整備された暴力団排除条例(暴排条例)によって、裏社会を取り巻く環境は激変しました。賭場を開帳する伝統的な博徒専業組織は事実上存続不可能となり、資金獲得活動は特殊詐欺や地下金融、サイバー犯罪など、目に見えない不透明な領域へとシフトしています。