ローカルなラーメン店の一食器に過ぎなかったツールが、世界の表舞台へと踊り出たのは2000年代初頭のことだ。アメリカのニューヨーク近代美術館 (MoMA)のキュレーター陣が、その無駄のない造形と機能性に目を留めた。結果として、建築・デザイン部門の常設展示品(パーマネントコレクション)として正式に選定される快挙を成し遂げたのである。
MoMAが評価したのは、単なる「面白グッズ」としての物珍しさではない。資源の節約というエコな哲学、そしてひとつの形に二つの機能を完全に融合させたストイックな美学だ。現在でもニューヨークや東京のMoMA Design Storeでは、日本の日常着が生んだデザインの名作として販売され、世界中の買い物客を魅了している。