伝統工芸の世界が直面する最大の課題は、後継者不足だ。十三やも例外ではない。
職人の高齢化が進む中、若い世代への技術継承が急務となっている。櫛作りの技術は、数ヶ月や数年で習得できるものではない。一人前になるまでに最低でも10年はかかる。その間の収入は決して高くない。若者が伝統工芸の道を選びにくい社会構造的な問題がある。
しかし希望もある。近年、伝統工芸に新たな価値を見出す若者が現れ始めている。十三やにも、30代の新人職人が加わった。彼は大手企業を退職し、「本当に価値あるものを作りたい」という思いで弟子入りを志願したという。
伝統と革新の共存
十三やは伝統を守りながらも、時代に合わせた革新を恐れない。オンラインショップの開設、SNSでの情報発信、海外市場への展開。古い体質に固執せず、柔軟に変化する姿勢が、400年の歴史を支えてきた。伝統とは、単に古いものを守ることではなく、時代とともに進化し続けることなのだ。