全国の小中学校に通った経験を持つ人々の間で、驚くほど会話が噛み合わないテーマがある。それが「ミルメーク」の存在だ。愛知県を中心とする東海地方や東北、関東の一部地域では「月に数回の楽しみだった」と懐かしむ声が多い一方、東京都区部や大阪府などの大都市圏出身者からは「名前すら聞いたことがない」という反応が返ってくることも珍しくない。
この地域差を生み出している最大の要因は、牛乳の供給形態と配膳システムの履歴にある。かつて学校給食で主流だった瓶牛乳の地域では、キャップを開けて粉末を投入し、ストローでかき混ぜる「粉末タイプ」が広く浸透した。しかし、紙パック牛乳への切替が進むと、パックの注ぎ口から注入できるチューブ状の「液体タイプ」が登場する。公益財団法人日本学校給食会などを通じて全国へ紹介されたものの、各地域の学校給食産業における配送ロジスティクスや容器の仕様によって、採用率は都道府県ごとに大きく二極化した。