作品を単なるドタバタ劇に終わらせず、緊迫した映画作品として成立させた最大の立役者が、悪役サルドゥ・ヌムスパを演じたチャールズ・ダンスだ。英国演劇界で培われた冷徹で格式高い佇まいは、冷酷無比な悪魔の化身として画面を支配し、観客の心に強烈な恐怖を刻みつけた。
メガホンをとったマイケル・リッチー監督の意図も興味深い。社会風刺やドキュメンタリータッチの作品で評価を得ていたマイケル・リッチーは、大作ハリウッド映画の巨大なスタジオシステムと格闘しながら、あえて特撮やアクションの過剰さを娯楽として全面に押し出す決断を下した。キャスト同士の化学反応を逃さず捉えた即興性の高い演出は、撮影現場における緊張感と高揚感の賜物だったと後年のインタビューでも語られている。