阿藤快の役者としての土台は、名門として知られる劇団俳優座の舞台で徹底的に鍛え上げられた。もともとは法律家を目指して東京都立大学で学んでいた異色の経歴を持つが、演劇の魔力に取り憑かれ、表現の世界へと舵を切った。恵まれた体格と彫りの深いマスクは、初期の映像界において強烈な武器となる。
1970年代から80年代にかけて、彼は数多の刑事ドラマや時代劇で冷酷な悪役やならず者を演じ、視聴者に強烈な爪痕を残した。特に映画ファンを唸らせたのが、巨匠・黒澤明監督による名作映画『影武者』への出演だ。世界的名匠が作り出す過酷な現場で揉まれ、泥臭いリアリズムと重厚な存在感を磨き上げた経験が、後の幅広い役柄を支える揺るぎない背骨となったのである。