太平洋を航行する豪華客船アフロディーテ号。逃げ場のない洋上の密室で発生する連続殺人事件。この古典的でありながら最もスリリングなシチュエーションが、本作の骨格を支えている。15年前の貨物船沈没事故と、現在の造船グループ会長暗殺計画。二つの事件が複雑に絡み合い、乗客たちを疑心暗鬼の渦へと引きずり込んでいく。
洋上という極限状態が、登場人物たちの焦燥感を嫌が応にも煽る。観客は単なる傍観者ではいられない。まるで自分もアフロディーテ号の乗客の一人になったかのような、息苦しいほどの臨場感が画面全体から漂ってくる。