1990年代後半から2000年代の個人サイト全盛期、夢小説を読むには暗黙のルールが存在した。検索避けの徹底、難解なパスワード(いわゆる「ナマモノ」のクイズなど)、そして「回れ右(嫌いな人はブラウザを閉じる)」の警告文。これらはすべて、興味のない人の目に触れさせないための「防壁」だった。
しかし、現在のSNS環境はその防壁を粉々に粉砕した。TikTokやX(旧Twitter)のレコメンドアルゴリズムは、ユーザーの意図に関係なく「エンゲージメントが高いコンテンツ」を容赦なくタイムラインに放り込む。結果として、夢小説の存在すら知らなかった一般ユーザーや、キャラクター同士の恋愛(BLやGLなど)を好む他のオタク層の画面に、自己投影型の創作物が直接表示される事態が発生している。この「見たくないものを見せられる」状況が、嫌悪感を増幅させる最大の要因となっている。