手羽先唐揚げの歴史を語るうえで、風来坊の創業者である坂口重雄氏の存在を外すことはできない。1960年代初頭、当時としては捨て値に近い価格で取引されていた鶏の手羽先に着目した坂口氏は、二度揚げによって外はパリッと内はジューシーに仕上げる独自の調理法を編み出した。
甘辛い特製タレを塗った後にゴマとコショウを振りかけるスタイルは、まさに彼の手によって生まれた。本来ならスープ用として処理されていた食材が、一転して至高の看板料理へと生まれ変わった瞬間であった。この元祖の味は、現在も「甘辛いタレと香ばしいゴマのハーモニー」として、多くの食通を魅了し続けている。