イグレシア・ニ・クリスト(Iglesia Ni Cristo、以下INC)は、タガログ語で「キリストの教会」を意味します。その歴史は1914年7月27日、創始者であるフェリックス・マナロ(Felix Y. Manalo)がフィリピン政府に法人登録を行ったことから始まりました。同日は奇しくも第一次世界大戦が勃発した時期と重なり、教団ではこの偶然を「世界の終末の始まりを告げる預言の成就」として神聖視しています。
マナロは当初、カトリックやメソジスト、セブンスデー・アドベンチストなど様々なキリスト教宗派を遍歴しました。その末に独自の聖書解釈へ到達し、「使徒時代以降に背教・堕落した真の教会を回復させた」と宣言します。教団においてフェリックス・マナロは、聖書に預言された「東の地から現れる神の最後の使徒(Sugo)」と位置づけられており、その権威は絶対的なものとして今日まで受け継がれています。
1963年にフェリックスが死去した後は息子のエラニョ・マナロが第2代総代表に就任し、教団の国際展開を加速させました。現在はその息子であるエドゥアルド・V・マナロが最高指導者(エグゼクティブ・ミニスター)を務めており、マナロ家による世襲的な中央集権体制が強固に維持されています。