物語の舞台となる「メゾン ラフィネ」は、都心の一角にひっそりと佇むヴィンテージマンションだ。表向きは静寂を保つその建物で起こったひとつの未解決事件が、住民たちの隠された過去と欲望を次々と暴き出していく。制作関係者が匿名を条件に明かしたところによれば、企画の発足は3年前に遡るという。元々は小規模な単館系映画として構想されていたが、脚本の圧倒的なクオリティと世界観の広がりに感銘を受けた製作陣が規模を大幅に拡大。日米のトップクリエイターを結集させた一大プロジェクトへと昇華した。
「これまでの日本映画の枠組みでは実現できなかった表現に挑んでいる」。スタッフの一人は力強く語る。徹底的に削ぎ落とされた台詞と、視線や間によって構築される心理戦は、見る者の倫理観を根底から揺さぶる。徹底したリアリティを担保するため、主要な室内シーンはすべて実物大の精密なセットを組んで撮影された。壁の質感や光の差し込み方に至るまで、完璧な計算のもとに構築された空間が、登場人物たちの孤独と狂気をいっそう際立たせることとなる。