日本において、偉大なアーティストの子供が受けるプレッシャーは計り知れない。少しでも音楽に関われば「親の七光り」と揶揄され、関わらなければ「才能を受け継がなかった」と勝手に失望される。えり氏が選んだ「ビジュアルアート」という領域は、音楽とは異なるものの、同じ表現の世界だ。そこでの彼女の評価は、親の名前ではなく、描き出される線の魅力や色彩感覚によって勝ち取られたものである。
彼女の描くイラストは、どこかノスタルジックでありながら、現代的な洗練さを併せ持つ。それは、1970年代のソウルミュージックやポップスを現代に昇華し続ける山下達郎の音楽性や、竹内まりやが描く普遍的な人間模様のビジュアル版とも言えるかもしれない。