「また」という言葉の歴史は古く、奈良時代の『万葉集』や平安時代の古典文学にも頻繁に登場します。漢字では文脈に応じて「又」「亦」「復」などの文字が当てられてきました。
それぞれの漢字が持つ本来の語源は次の通りです。
・「復」:元の状態に戻る、再び繰り返す(例:復習、復帰)
・「又」:別の事柄を加える、並列する(例:又は)
・「亦」:同様に、〜もまた同じく(例:亦然)
古代の日本人は、これら複数の概念を「また」という一つの大和言葉に集約させて使い分けていました。中央(京都など)で生まれた多様な語法が全国各地へ伝播する過程で、特定の意味合いが強調されたり、地域のイントネーションと融合したりして定着しました。現代に残る地域差は、この豊かな言語史の産物と言えます。