機体の再利用技術が目指す最終目的地は、単なる衛星打ち上げビジネスの拡大ではない。その真の狙いは地球外への人類の居住域拡大、すなわち火星移住構想の実現にある。数万人規模の都市を異星に築くためには、物資と人間を安価かつ大量に往復輸送する手段が絶対に不可欠だからだ。
宇宙線の防護、水や酸素の循環確保、長期滞在が人体に与える影響など、解決すべき壁は依然として高く聳え立つ。しかし、打ち上げコストの劇的な破壊が現実のものとなった今、火星探査は絵空事のSFから具体的なエンジニアリングの課題へとフェーズを変えた。私たちが生きているうちに、民間人が火星の土を踏むニュースを目にする日は確実に迫っている。