高尾駒木野庭園のルーツは、昭和初期に建てられた個人の別邸とその庭園にある。当地はもともと高尾山の参道沿いに位置し、江戸時代から「駒木野(こまぎの)」という地名で知られた地域。高尾山を訪れる巡礼者が行き交う「高尾街道」沿いにあり、茶屋や休憩所が点在していたという記録が残る。
庭園の原型となった日本庭園は、昭和初期の実業家によって整備された。庭園史に詳しい専門家の解説によると、当時の庭園は「高尾の自然を借景に、池と築山を配した典型的な近代和風庭園」であり、高尾山麓の別荘文化を今に伝える貴重な遺構だという。戦後、所有者の変遷を経て八王子市が取得・拡張し、公共庭園として現在の姿に整備された。
この歴史的背景こそ、高尾駒木野庭園が単なる「公園」ではなく「名園」と呼ばれる理由の一つだ。個人が心血を注いで作り上げた庭園美と、高尾山の自然が融合した空間は、都立庭園や寺社庭園とは異なる独自の魅力を持つ。