本物の猫の骨格標本を作り上げる作業は、生物学の知識と精密な手作業を要する職人技です。一般的に以下のような工程を経て完成に至ります。
1. 粗解剖と肉取り
遺体から皮ふや内臓、大きな筋肉組織を手作業で取り除きます。この際、小さな指の骨や尾椎を傷つけないよう、非常に繊細なメスさばきが求められます。
2. 除肉(分解処理)
残り少ない肉を除去するため、主に2つの方法が用いられます。一つは「カツオブシムシ」などの甲虫に肉を食べさせる自然な生物処理。もう一つは、酵素処理液やマイルドな温水で骨を煮込み、肉を軟化させて除去する方法です。骨を過度に煮込むと脆くなるため、温度と時間の管理が命です。
3. 脱脂と漂白
骨の内部には油脂分が多く含まれています。これ放置すると後から黄色く変色し、不快な悪臭の原因になります。アセトンや薬品に数週間浸して油分を完全に抜き取った後、過酸化水素水を用いて美しい自然な白色へと漂白します。
4. 関節の再構築と姿勢付け
バラバラになった200個以上の骨を、極細のステンレスワイヤーや透明な樹脂を用いて組み上げていきます。猫特有の美しい背骨のカーブや、しなやかな足の角度を再現するには、高度な解剖学知識と芸術的センスが必要です。