何も考えずに登ろうとすれば、数センチ進んだだけで重力と潤滑油の餌食になる。そこで幾多のお笑い芸人たちが試行錯誤の末に編み出したのが、独自の「攻略法」だ。単に力で押し切るのではなく、足裏の接地面積を極限まで減らすつま先立ちのアプローチや、あえて四つん這いになり体幹の力で滑りを抑える方法など、現場では流派とも言える多様なアプローチが生まれた。
さらに、ローションが乾き始める一瞬の摩擦力の変化を見逃さずに一気に駆け上がる上級テクニックまで存在するという。肉体の限界に挑みながら笑いを生み出すその姿は、スポーツ競技さながらのストイックさとナンセンスさが同居する、極めて稀有な笑いのエンターテインメントへと昇華されている。