試しに、蛇口から出る水をブロッコリーの頭に直接当ててみてほしい。水滴は見事なまでに球状になって弾かれ、表面を滑り落ちていくはずだ。まるで上質なレインウェアのような撥水性。これこそが、流水洗いが全く意味をなさない決定的な理由である。
ブロッコリーはキャベツや白菜と同じアブラナ科の植物だ。そのつぼみの表面は「ブルーム(果粉)」と呼ばれる天然の油脂成分で覆われている。植物が乾燥や病気、紫外線から身を守るために自ら分泌する生体防御シールドなのだが、皮肉にもこの天然のコーティングが、水滴の侵入を徹底的にブロックしてしまう。上からいくら勢いよく水をかけても、水は内部に1滴たりとも届かない。農業の現場で大切に育てられた証拠でもあるブルームだが、調理現場においては厄介な防壁となって立ちはだかる。