麻生氏のスタイリングを象徴するアイコンといえば、重厚なダブルブレスト(ダブルスーツ)と、斜めに深くかぶった「ボルサリーノ(Borsalino)」のフェルトハットです。この個性的な装いは、決して単なる目立ちたがりやパフォーマンスではありません。
ダブルスーツは身体を大きく見せ、威厳と格式を強調するクラシカルなデザインですが、着こなしを誤ると野暮ったく見えがちです。しかし麻生氏の場合、ウエストの絞り位置や着丈、パンツの落ち感が完璧に計算されており、堂々たる貫禄を演出しています。Vゾーンには上品なレップタイやピンドット柄を合わせ、胸元には常に清潔感のある白のポケットチーフをスリーピークスやTVフォールドで挿すのが鉄則です。
さらに、国際舞台での移動時などに着用して伝説となったイタリアの名門「ボルサリーノ」の帽子は、19世紀から続く由緒ある中折れ帽。絶妙な角度で目元に影を落とす被り方は、白洲次郎ら昭和の粋人たちに通じる本格的なダンディズムを現代に甦らせたものといえます。