山下清が残した作品群は、単なる「障害を克服した画家の作品」という枠を遥かに超え、近代日本美術史における最高峰のアウトサイダー・アート(アール・ブリュット)として国内外で絶賛されています。
代表的な作品一覧には以下のような傑作が並びます。
- 『長岡の花火』(1950年):清の最高傑作と称される貼り絵。夜空に炸裂する花火の閃光と信濃川に映る光のグラデーションを、幾重にも重ねられた紙片片で立体的に表現。
- 『富士山』(1952年):均整の取れた霊峰富士の姿を、精密な色彩感覚と緻密な紙のちぎり技法で荘厳に描き出した名作。
- 『桜島』(1954年):噴煙を上げる鹿児島のシンボルを力強いタッチで再構成した作品。
- 『スイスの町』(1963年):後年、式場隆三郎医師らとともに敢行したヨーロッパ外遊時に焼き付けた風景を、帰国後に鮮烈な色彩で表現した連作の一つ。
- 『トンボ』(1938年):初期・八幡学園時代の作品。昆虫に対する並々ならぬ観察眼と細密な表現力がすでに開花していたことを示す貴重な原点。
彼の貼り絵の特徴は、ハサミをほとんど使わず、指先だけでミリ単位の紙片をちぎり、こより状に丸めたり重ねたりして油絵のような重厚なテクスチャーを生み出す点にあります。この驚異的な集中力と造形美は、現代のデジタルアート全盛期においても色褪せない輝きを放ち続けています。