徳島県の祖谷(いや)、栃木県の湯西川(ゆにしがわ)、宮崎県の椎葉(しいば)――。これらの地名は、歴史ファンならずとも一度は耳にしたことがあるはずだ。険しい崖にへばりつくようにして作られた集落は、かつて落人たちが身を隠すのに最適な「天然の要塞」だった。
しかし、2026年の今、これらの地域を襲っているのは源氏の追手ではない。容赦のない過疎化だ。
限界集落化が進む中、住民の平均年齢は80歳を超え、空き家が目立つ。かつて数千人を数えた集落も、今や数十人規模にまで縮小している。「あと10年もすれば、ここに人が住んでいたことすら忘れ去られてしまうかもしれない」。ある地元の長老は、消えゆく集落の行く末を静かに見つめている。