野良猫をめぐる生態系の変化は、人間社会の取り組みとも分かち難く結びついている。公益社団法人日本動物愛護協会などが推進するTNR活動(捕獲・不妊去勢手術・元の場所に戻す)の浸透により、一代限りの命を地域で見守る「地域猫」の概念が定着した。去勢・避妊手術を受けた猫たちはホルモンバランスが安定し、縄張りをめぐる激しい闘争や発情期の絶叫が激減する。
これに伴い、巨大なペット産業の関心も単なる飼育用品の販売から、地域社会と動物のウェルビーイングを両立させるスマートな見守り技術や共生インフラへとシフトしている。去勢された街の元ボス猫たちは、いまや血気盛んな戦士であることをやめ、穏やかな地域コミュニティの象徴として愛される存在へと役割を変えつつある。