トラッカーウォレットを単なる道具からラグジュアリーなアートへと押し上げた背景には、リチャード・スタークが牽引したシルバージュエリーとレザーの融合がある。極厚のヘビーレザーに重厚なシルバーパーツを配したデザインは、90年代以降のアメカジシーンを根底から塗り替えた。
ウォレットチェーンを繋ぐためのグロメット(ハトメ)やジッパーの引き手に施される細工は、単なる装飾ではない。それは所有者のアイデンティティを語るシンボルだ。シルバーが空気中の硫黄と反応して黒ずみ、革が手の油分で飴色へと深まる――。金属と皮革という異なる物質が、時間という要素を通じて同一のヴィンテージ感を纏っていく調和に、多くの男たちが心を奪われ続けている。