漫画家・冨樫義博が描くキャラクターの表情には、一線を越えた者特有の不穏な凄みが宿る。瞳のハイライトを消し、無機質な線一本で冷酷さを表現するその技法は、集英社の連載陣の中でも異彩を放ち続けてきた。『HUNTER×HUNTER』のキメラアント編で見せた王や護衛軍の貌(かお)は、まさに言葉通りの異質さを放っていた。
集英社が生み出してきた数々のヒット作には、常に「表情で強さを語る」伝統が息づいている。読者はページをめくった瞬間、台詞を読む前にキャラクターの顔つきから力量を直感する。「面構え」という概念がこれほど強烈に私たちの視覚文化に根付いている背景には、長年にわたる少年漫画の記号論的な蓄積が存在しているのだ。