音楽関係者やメディアが特筆すべき現象として挙げるのが、鈴木雅之の「世代横断的な支持」です。90年代の黄金期をリアルタイムで体験していない10代・20代が、なぜ鈴木雅之の音楽に熱狂するのでしょうか。
その契機の一つが、1994年のシングル『違う、そうじゃない』でした。インターネット掲示板やSNS上で「否定の意思表示」を行う定番画像としてジャケット写真が使われ始めたことで、Z世代への認知が急速に拡大。しかし、単なる一発ネタで終わらなかったのは、楽曲そのものが極めてハイレベルなアシッドジャズ・ファンクナンバーであったことに起因します。ネットをきっかけに原曲を聴いた若い層が「めちゃくちゃかっこいい」と驚嘆し、本格的なファンへと定着していきました。
さらに決定打となったのが、アニメ『かぐや様は告らせたい』のプロデューサー陣からのオファーでした。「アニメファンにも本物のラヴソングを届けたい」という制作陣の熱意に応え、水野良樹が書き下ろした楽曲を歌唱。第2期では元℃-uteのエースとして卓越したダンスと歌唱力を持つ鈴木愛理をフィーチャリングに迎えました。
二人が見せたキレのあるダンスと完璧なツインボーカルは、TikTokやYouTubeを通じて世界中のアニメファンやJ-POPリスナーに拡散。海外のリアクション動画やカバー動画が急増し、「アニソン界の大型新人」というユーモラスな肩書とともに、その世界最高峰の歌唱力がグローバルに再認識される結果となりました。