夕暮れの河川敷を歩けば、視界を遮るほどの巨大な柱が立ち昇る。川沿いの遊歩道や住宅地で市民を震撼させている主犯格の一つがユスリカだ。吸血こそしないものの、数万匹単位で形成される「蚊柱」は呼吸器への吸い込み事故や建物の美観毀損を引き起こし、都市部でのクレーム件数は過去最多ペースで推移している。
NHKニュース(くらし・科学)の現地取材班が捉えた映像には、商業ビルのガラス一面を覆い尽くし、自動ドアの隙間から店内へと雪崩れ込む無数の虫の姿が克明に記録されていた。もはや局所的な風物詩ではない。都市インフラの隙間を突くように発生する虫の大群は、人々の衛生環境と心理的平穏を根底から揺さぶっている。