店名に掲げられた「三徳六味(さんとくろくみ)」という言葉。もともとは仏教や禅の精進料理に由来し、食を提供する者が備えるべき3つの徳と、料理が持つべき6つの味わいを指す。軽(軽やかさ)、軟(柔らかさ)、濃(濃密さ)といった妙味を、立ち呑みという最もカジュアルなフォーマットへ大胆に落とし込んだ点が、この店の決定的な革新性だった。
格式高い料亭でしか味わえなかったような出汁の引き方や食材の下ごしらえを、目の前でテンポよく提供する。肩肘を張らずに味わえる本格派の和食。このギャップこそが、目の肥えた大人のゲストを虜にして離さない最大の仕掛けだ。