彼の原点を語る上で、母であり日本を代表する料理研究家だった故・小林カツ代の存在を避けて通ることはできない。母もまた、くも膜下出血で倒れ、長い闘病の末にこの世を去った。母が遺した「手軽で、誰もが笑顔になれる家庭料理」という哲学は、息子の血管にも確かに流れている。
母の意志とレシピの著作権を管理する「株式会社カツ代キッチン」は、彼が倒れた後もその権利とブランドを大切に守り続けてきた。スタッフや関係者たちは、ケンタロウが再び自らの言葉で料理を語るその日のために、母子のレシピアーカイブをデジタル化し、次世代へ届けるプラットフォームを整えている。偉大な母の背中を追い、乗り越えようとしていた彼だからこそ、この試練に屈するわけにはいかないのだ。