午前5時30分。卸売場に鐘の音が鳴り響く。マグロの競りだ。競り人の独特な掛け声とともに、指のサインが一瞬で交わされる。プロの仲卸たちは尾びれの断面をライトで照らし、肉質、脂の乗り、身の締まりを数秒で見極める。
現場を取材すると、豊洲市場ドットコムの仕入れ担当者が仲卸の帳場に張り付き、競り落とされたばかりの魚をその場で買い付けていく姿があった。中間マージンを何重にも挟む従来型スーパーの買い付けとは決定的にテンポが違う。セリ落とされた魚は数分後には加工場へ運ばれ、午前中には発送伝票が発行される。市場のど真ん中に拠点を置く物理的アドバンテージが、鮮度劣化のタイムラグを完全に消し去っているのだ。