麗日お茶子の物語を語る上で避けて通れないのが、敵(ヴィラン)連合の少女・トガヒミコとの宿命的な対峙です。血を吸うことで他者に変身する特異な個性を持ち、社会の「普通」から弾き出されたトガは、お茶子に対して歪みつつも純粋な好意を抱き続けていました。
最終決戦の地である群訝山荘跡において、ふたりは互いの存在を懸けた激闘を繰り広げます。お茶子はトガを単なる排除すべき脅威として切り捨てるのではなく、「私はあなたの生きてきた軌跡をなかったことにはしない」という姿勢を貫き通しました。トガが抱えていた孤独と「普通への憧れ」、そして他者を愛することの痛みに正面から向き合ったのです。
この激闘の最中、お茶子はトガのナイフによって致命的な重傷を負い、大量に出血して意識を失いかけます。この緊迫した連載当時の描写から、SNS上では一時「麗日お茶子 死亡説」が飛び交い、トレンド入りするほどの衝撃を与えました。しかし、結末はお茶子の死ではなく、魂の通底でした。お茶子の言葉に救われたトガヒミコは、自らの血をお茶子に分け与える(輸血する)変身を行い、力尽きる直前にお茶子の命を繋ぎ止めたのです。
「世界一可愛いよ、トガちゃん」というお茶子の言葉と、トガの穏やかな最期。この結着は、ヒーローが敵を力で制圧するのではなく、相手の存在そのものを認めることによる精神的救済を描いた、本作屈指の名場面として語り継がれています。