歴代最高視聴率ランキングの頂点に君臨し続けるのが、平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%という前人未到の記録を打ち立てた『おしん』だ。脚本を手掛けた橋田壽賀子が紡ぎ出したのは、どんな苦難にも挫けず健気に生き抜くヒロインの壮絶な半生だった。
特に幼少期のおしんを演じた小林綾子の迫真の演技は、日本中の涙を誘った。毎朝の放送時間になると「街から人が消える」とまで言われ、その熱狂は国内にとどまらず世界数十カ国へと波及。貧しさに耐えながらたくましく生きるおしんの姿は、高度経済成長を終えた当時の日本人に「本当の豊かさとは何か」を問いかける強烈なメッセージとなった。
橋田壽賀子による緻密な人間描写と、圧倒的なリアリティを持つセリフの数々。単なるメロドラマの枠を超え、日本の近代史を市井の女性の視点から描き切った骨太なストーリー構成こそが、60%超えという前代未聞の数値を叩き出した最大の要因である。