焼き鳥の味を左右するのは、素材の鮮度だけではない。仕込みの段階での美しい串打ちと、熾火(おきび)の状態を見極める眼力を持つ炭火焼鳥職人の存在が不可欠だ。近年の日本の外食産業においては、単なる効率化とは対極にある「手仕事の価値」が見直されている。
日本焼鳥協会などの業界団体も、伝統的な炭火焼きの技能継承や品質向上に向けた取り組みを推進している。備長炭の熾し方、串を返すミリ単位のタイミング、部位ごとに変える塩の振り方——職人が長年の経験で培った勘と技が合わさることで、外はパリッと香ばしく、中はジュワッと肉汁が溢れる完璧な一串が完成する。この職人技の結晶こそが、消費者を惹きつけてやまない理由だ。