富士の雄大な山裾と清流に恵まれた静岡県。古くから日照時間、寒暖差、豊かな土壌という奇跡的な条件が揃う、日本有数の大茶園地帯である。朝夕に発生する川霧は強烈な日光を和らげ、茶葉に十分な潤いを与えてアミノ酸由来の甘みをじっくりと育む。
だが、極上の静岡茶は単に自然の恵みだけで完成するわけではない。差をつけるのは、歴史ある老舗茶問屋の目利きと火入れの技術だ。その日の気温や湿度、茶葉の水分量を五感で察知し、葉の奥底にある香気成分を鮮烈に呼び覚ます。伝統の技が注ぎ込まれた茶葉は、湯を注いだ瞬間に贅沢な香りを部屋いっぱいに充満させる。