インターネット上で「辰巳屋」と検索すると、サジェストキーワードに「閉店」「現在の状況」「噂の真相」といった穏やかではない言葉が並びます。取材班がデジタルアーカイブと飲食業界の動向を照合したところ、この背景には二重の情報の錯綜が存在することが判明しました。
第一の要因は、かつて東京都世田谷区松原に存在し、熱狂的なファンを抱えた伝説的なラーメン店「辰巳屋」との混同です。濃厚な醤油豚骨と背脂、独特の太麺で深夜まで行列を作った世田谷のラーメン辰巳屋は、店主の体調や諸事情により惜しまれつつ休業・閉店を経験しました。ラーメンフリークの間で「辰巳屋は今どうなっているのか」と情報交換が活発に行われた結果、宇治の老舗料亭「辰巳屋」の検索クエリとアルゴリズム上で混ざり合い、「老舗の辰巳屋が閉店したのではないか」という根拠のない誤解が拡散したのです。
第二の要因は、宇治の辰巳屋がコロナ禍以降に推進した「完全予約制への移行」と「席数制限による品質管理」です。ふらりと店頭を訪れた観光客が「本日満席」の看板を見て入店できなかった体験談をSNSに投稿し、それが伝言ゲームのように歪められて「営業していないのではないか」という憶測に繋がった実態が浮かび上がっています。結論として、宇治の京料理・辰巳屋は現在も極めて健全に営業を続けています。