昨今の車中泊ブームに伴い、蘭越町の道の駅は北海道を縦断するバンライファーやキャンパーたちの仮眠拠点としても注目を集めています。しかし、現地環境を客観的に観察すると、2つの拠点には明確な長所と短所が存在します。
道の駅らんこしふるさとの丘での車中泊は、札幌・函館間をつなぐ国道5号沿いという抜群の利便性が最大のメリットです。敷地内には24時間利用可能な公衆トイレが整備されており、清掃状態も良好に保たれています。ただし、現場取材班が夜間に確認したところ、深夜帯でも長距離大型トラックの往来が絶えず、ロードノイズやアイドリング音が駐車場内に響きやすいという課題があります。音に敏感なドライバーからは「耳栓がないと眠りが浅くなる」という声も聞かれます。
対照的に、道の駅シェルプラザ港での車中泊は、交通量が激減する夜間の「静寂性」が圧倒的なアドバンテージです。晴れた夜には日本海の上に満天の星空が広がり、波の音を聞きながら過ごすプライベート感は格別です。しかし、ここには海沿い特有の物理的リスクが潜んでいます。日本海から吹き付ける季節風が強まる夜は、車体が横揺れするほどの突風に晒されることがあります。さらに、前述の通り11月中旬以降の冬季は完全休業となるため、給排水やトイレの夜間利用を含めて一切活用できません。
そして車中泊における最大の関心事である「入浴」について、蘭越道の駅温泉というキーワードで検索する利用者が後を絶ちませんが、両道の駅ともに館内に温浴施設は併設されていません。この点も誤解されやすいポイントです。
ただし、蘭越町は道内でも屈指の隠れた名湯の宝庫です。ふるさとの丘から車で約8分、シェルプラザ港から約15分の距離に、町営の天然温泉施設「蘭越町交流促進センター 幽泉閣(ゆうせんかく)」が存在します。泉質は「美肌の湯」として名高いナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉。湯上がりの肌触りが滑らかになると評判で、大人500円前後(入浴料改定の場合あり)という良心的な価格設定も魅力です。車中泊を行う際は、日没前に幽泉閣で極上の湯を堪能した上で道の駅へ移動し仮眠をとる、というのが経験豊富なトラベラーの間で鉄則となっているルートです。