プロ野球ドラフト会議の当日、支配下指名はもちろんのこと、育成選手選択会議での動向に至るまで、球界関係者の視線は彼の一挙一動に注がれていた。スカウト陣の極秘評価レポートに記されていたのは、規格外の飛距離を生むスイングスピードと、本番のプレッシャーを跳ね返す強靭なメンタリティだ。しかし、結果としてNPB12球団から本指名の声がかかることはなかった。
指名漏れという非情な現実の背景には、各球団が抱える支配下枠のシビアな繰り算があった。特に、長打力を強みとする野手枠は他ポジション以上に即戦力性が求められる。スカウト内部では「右の代打・将来のクリーンナップ候補として魅力的だが、守備位置の限定と実戦経験の少なさがネック」との分析が支配的であった。プロのスカウト陣は潜在能力の高さを認めつつも、指名枠という有限の資源を投じる決定打を欠いたのが実情だ。