住宅の周囲で目にする土の盛り上がりには、いくつかの種類が存在します。なかでも最も警戒すべきなのがシロアリの構築する「蟻道」です。地中に本巣や分巣を持つシロアリは、地上に出る際に外気や紫外線から極薄の皮膚を守るため、土粒子・木屑・糞を混ぜ合わせて頑丈なチューブ状のトンネルを築きます。
これと混同されやすいのが「蟻土(ぎど)」です。蟻道が移動のための「線・トンネル」であるのに対し、蟻土は木材の隙間や割れ目、食害によって生じた空間を埋めるためにシロアリが盛り固めた「面・塊」の土を指します。どちらであってもシロアリがその場に到達している決定的な証拠である点に変わりはありません。
また、「庭で見かける黒アリが作ったものか?」という疑問も多く寄せられます。しかし、一般的な黒アリは乾燥や日光に耐性があるため、わざわざ土で密閉された蟻道を作る習性はありません。基礎のコンクリートを垂直に這い上がる土の筋が見つかった時点で、ほぼ間違いなくシロアリの仕業と断定できます。
日本国内で住宅被害の約9割を占めるヤマトシロアリの蟻道は、幅が数ミリから1センチ程度の細いひも状であることが多く、湿潤な床下空間から土台へ向けて立ち上がります。一方、温暖な沿岸部に多いイエシロアリの場合は、幅数センチに及ぶ太く強固な蟻道を構築し、2階や屋根裏まで一気に活動域を広げる性質を持ちます。