2026年6月、多くの食通に走った衝撃のニュースが「キッチン南海 神保町店」の閉店でした。昭和41(1966)年の創業以来、神保町の顔として愛されてきた旧店舗の閉店理由は、入居ビルの老朽化と耐震問題、そして半世紀以上厨房に立ち続けた創業者・南山茂氏の高齢による勇退が決断の背景でした。
しかし、神保町の食文化を象徴する伝説の味が途絶えることはありませんでした。創業者の右腕として長年料理長を務めてきた中條知治氏がその屋号と味を受け継ぎ、正式な暖簾分け店舗として同年7月に目と鼻の先である「神田すずらん通り」へ移転オープンを果たしたのです。
「常連客の居場所と伝統の味を守り抜く」という強い覚悟のもとスタートした新店舗は、グリーンのファサードや看板のフォントに至るまで往年の南海スピリットを完全継承。厨房で鮮やかにフライパンを振るう料理人たちの活気は、今も訪れるすべての人々を温かく迎えています。