小学校の国語の教科書にも採用され、誰もが一度は目にしたことがある名作『モチモチの木』。斎藤隆介作、滝平二郎絵によるこの作品は、勇気と優しさをテーマにした感動的な物語として評価される一方で、多くの子供たちに独特の恐怖心を与えてきた。
滝平二郎氏の手によるコントラストの激しい切り絵表現は、漆黒の夜と光の対比を強烈に描き出す。夜中にひとりで便所へ行けない臆病な豆太の恐怖心は、太い線の版画風切り絵によってリアルに増幅され、読者の想像力を極限まで刺激する。巨大なモチモチの木が闇の中に浮かび上がるビジュアルは、幼心の奥底に不気味な影として残り続けるのだ。