若い頃の演劇生活は、決して華やかなことばかりではなかった。大道具の仕込みから撤収まで自らこなし、全国の小さなホールをめぐる旅公演の日々。どのような環境でも観客の心を掴まなければならない過酷な現場で、彼女は表現者としての地力を徹底的に鍛え上げられた。
現在、サスペンスの重厚な悪役から、人情味あふれる母親役、コメディでのコミカルな立ち回りまで幅広くこなす「カメレオン女優」としての評価は揺るぎない。若い頃に培った確かな基礎体力があるからこそ、どんな異彩を放つ役どころでも作品のリアリティを損なわずに成立させられるのだ。