この認知現象のバックボーンには、人体の精緻な脳科学的メカニズムが存在します。人間の脳幹には「RAS(網様体賦活系:Reticular Activating System)」と呼ばれる神経ネットワークが備わっており、これが高度な情報フィルターとして機能しています。
人間の五感には、毎秒数百〜数千万ビットとも言われる膨大な情報が押し寄せています。もしそのすべてを脳が真正面から処理しようとすれば、あっという間にエネルギーを消費し尽くし、脳はオーバーヒートを起こしてしまいます。そこでRASが司令塔となり、「生命の維持に必要な情報」や「本人が強く関心を寄せている情報」だけをスクリーニングし、大脳皮質へ送り届けているのです。
よく混同される概念に「カクテルパーティー効果」があります。両者の違いを整理すると、カクテルパーティー効果が「騒がしいパーティー会場でも自分の名前や興味のある話し声を聞き取れる」という主に音声・聴覚に特化した選択的聴取を指すのに対し、カラーバス効果は視覚情報を中心としつつも、アイデアやチャンスといった情報全般に対する意識付けのメカニズムを包括して指す点に特徴があります。