万世橋駅が開業したのは1912年(明治45年)。設計を手掛けたのは、日本銀行本店や東京駅丸ノ内駅舎を生み出した巨匠・辰野金吾だ。当時、明治政府のもとで鉄道網整備を主導していた鉄道省にとって、この駅は首都東京の顔であり、最大のターミナル拠点だった。
見事な赤レンガ造りの高架橋と壮麗な駅舎は、まさに当時の日本の近代建築技術の結晶と言える。堅牢なイギリス積みのレンガ壁や優美なアーチ造形は、100年以上が経過した現在もびくともしていない。職人たちの緻密な手仕事と卓越した美意識が、今も構造物の細部に刻まれている。