過去20年以上にわたる気象庁の予算推移を振り返ると、厳しい緊縮財政の影が見て取れます。2000年代初頭には年間約650億円規模あった予算は、小泉政権下の「三位一体の改革」や行財政改革、その後の公務員人件費削減方針のあおりを受け、一時期は500億円前後まで圧縮されました。
予算削減が進んだ主な背景には、行政のスリム化とデジタル化・自動化の推進があります。観測機器のデジタル化や予報技術のアルゴリズム化が進んだことで、「現場の人員や地方拠点は縮小できる」という論理が財務当局を中心に働いたためです。
しかし、近年の温暖化に伴う「想定外」の極端気象の頻発により、そのコストカット戦略は明らかな歪みを生んでいます。現場では観測機器の老朽化更新が後手に回り、地方気象台の無人化や人員削減によって、地域特有の気候変動や局地豪雨をきめ細かく監視する人的リソースの枯渇が深刻な問題として浮上しています。