彼女の才能を語る上で欠かせないのが、ピンク映画という特異な土壌だ。当時の大蔵映画を中心とする成人映画界は、単なるエロティシズムの消費場ではなく、若き気鋭監督たちが低予算の極限で作家性を競い合う実験場でもあった。
とりわけ「ピンク四天王」の筆頭格である佐藤寿保監督や瀬々敬久監督の作品において、彼女は代えの利かない共犯者として君臨した。佐藤監督の描く異常心理や肉体の解体、瀬々監督が紡ぐ社会の周縁で喘ぐ魂の慟哭――それらを体現できる女優は、彼女のほかにいなかった。過激な描写の奥底に横たわる人間の哀切を、身を削るような演技でフィルムに定着させたのだ。