1958年に日清食品ホールディングスの創業者である安藤百福が世界初の即席麺を発明して以来、この食品は日本発のグローバル・スタンダードとして地球上を席巻した。一般社団法人日本即席食品工業協会のデータを見ても、日本国内における年間消費量は数十億食に達し、災害時の備蓄食や緊急援助物資としても揺るぎない地位を築いている。
ところが、即席麺製造業が目覚ましい技術革新を遂げる一方で、「手軽に買えて安くて美味いもの=体に害がある」というスティグマ(負の烙印)は一度も消え去ったことがない。その背景には、高度経済成長期から続く加工食品への不信感と、急激に変化した食習慣に対する警鐘が混ざり合っている。
安価でカロリーを満たせる魔法の食事は、豊かになった日本社会において、いつしか「栄養バランスを崩す元凶」としてやり玉に挙げられるようになった。だが、私たちが抱く漠然とした恐怖は、どの程度科学的根拠に基づいているのだろうか。