医療系国家試験で頻出中の頻出であり、臨床現場でも重大な医療事故に直結するのが抗コリン薬の禁忌です。添付文書の「禁忌欄」に並ぶ代表格が「閉塞隅角緑内障」と「前立腺肥大症に伴う排尿障害」の2つです。
【禁忌疾患の覚え方ゴロ】
「緑の前立腺、抗コリンで塞がる」
- 緑:緑内障(特に閉塞隅角緑内障)
- 前立腺:前立腺肥大症(排尿障害のある患者)
- 塞がる:隅角が塞がる/尿道が塞がる
緑内障に禁忌である理由は、抗コリン作用によって瞳孔括約筋が弛緩して散瞳が起きるためです。瞳孔が開くと虹彩の根元が盛り上がり、眼球内の房水が排出される「隅角(線維柱帯)」を物理的に狭くしてしまいます。結果として房水が眼内に溜まり、眼圧が急上昇して失明のリスクを招きます。※ただし、隅角が広い開放隅角緑内障では眼圧コントロール下で使用可能なケースもありますが、国試の原則としては「緑内障=禁忌」と出題されます。
前立腺肥大症に対しては、膀胱の筋肉(排尿筋)を緩める一方で、膀胱の出口にある内尿道括約筋を収縮させてしまうため、完全な尿閉を引き起こす危険があります。すでに肥大した前立腺によって尿道が圧迫されている患者に投与すると、自力で排尿できなくなり導尿が必要になるため絶対禁忌とされています。