カウンターの奥で繰り広げられるのは、まるで中世の錬金術師を思わせる手さばきだ。カクテル界で熱視線を浴びるクラフトアマーロ(薬草酒)や、地元の希少なボタニカルをスピリッツに漬け込んだ自家製インフュージョン液が、繊細なスポイトでグラスへと注がれていく。
素材の組み合わせは極めて大胆でありながら、計算はどこまでも綿密だ。和山椒の痺れるような香りとスモーキーなシングルモルトを合わせたり、発酵させた果実の酸味でベースの旨みを引き立てたりと、一滴の加減で世界観がガラリと変わる。クラシカルなスタンダードカクテルの知識を完全に咀嚼した上で構築される革新的な一杯は、舌の上で心地よい衝撃を巻き起こす。