最も深刻なトラブルが発生しているのが、路上で行われるストリートスナップや、モデルを起用したポートレート撮影の場だ。公道や商店街の真ん中で三脚を立て、通行人の邪魔になりながらシャッターを切り続ける行為は、地域住民との間で深刻な摩擦を引き起こしている。肖像権に対する認識の甘さから、無断で通行人の顔を大きく捉えた写真をSNSへアップロードし、炎上するケースも後を絶たない。
こうした事態に対して、公益社団法人日本写真家協会などの専門機関も倫理啓発を呼びかけているが、独学で撮影を始めたライト層までその声が届いているとは言いがたい。「作品づくりのためなら多少の迷惑は許される」という自己中心的な特権意識が、写真愛好家全体の立場を狭めている。撮影とは本来、被写体やその場の空気感との対話であり、相手の領域を暴力的に奪い取る行為であってはならないはずだ。